イタリア 万歳

成分や炭酸入り・なし。好みで選ぶ
ミネラル・ウォーター事情
(text & photo by 岩田デノーラ砂和子)

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イタリアの水道水は、カルシウム分を大変多く含んでいます。そのため生活の場においては、柔らかい良質な水が水道からガンガン出てくる日本とは異なり、さまざまなケアが必要になってきます(→Vol.36 お肌の大敵?イタリアの水道水)。

そんな硬度の高い水道水。「飲み水」としては、どうでしょう? 浄水器を利用するケースもありますが、ミネラルウォーターを購入するのが一般的。ふんだんに流れる良質な地下水を利用しているローマ中心街など、一部の地域を除けば、各家庭に当たり前のように水のペットボトルが常備されています。

スーパーマーケットや食料品店には、1.5リットルや2リットルの6本パックを山のように積んだ「水の山」があり、好みの水を選んでまとめ買いをします。1.5リットルとはいえまとめれば8キロ。日々の重労働のひとつでもあります。車がない場合は、宅配システムを利用することもあります。

ところで、ビニールでキッチリとパッキングされた水パック。「セットでしか買えないの?」と観光客の方に聞かれることもありますが、そこはイタリア。特に売り場の許可を取る必要もなく、バリバリ破ればOK。余った水ボトルは、きっと誰かが買うでしょう。ということで丸く収まっています。

さて、そんなミネラル・ウォーター。種類はさまざまで、「サン・ペッレグリーノ」、「アクア・パンナ」、「フェラレッレ」などなど、全国区で売られるメジャーブランド以外にも、ローマなら「ネーピ」、シチリアなら「ジェラチ」など、地域によって並ぶ銘柄も変わります。

含まれる成分もそれぞれの水で微妙に異なるため、味わいや出身地にこだわるほか、用途によって使い分けたりもします。「レビッシマ」は比較的カルシウム分が少ないため、緑茶が緑色に抽出される(!)など、和食にも最適。在住日本人の間では重宝している水のひとつです。

また、イタリアのリストランテやバールで水を注文すれば、必ず「Naturale o Gassata? (ガスなしかガス入りか?)」と聞かれるように、炭酸の有無もセレクトのポイント。ガス入りは、「苦い」「辛い」などのご意見もありますが、慣れるとスッキリした飲み心地に、「食事中の水」として欠かせなくなります。ただ、食欲増進作用もあるため、ダイエット中には不向き。とはいえ、カロリーゼロ。ビールよりははるかにまし…と、食前の水には炭酸入りを選ぶケースもあります。

炭酸入りにも、炭酸ガスをプラスしたもの、自然発泡しているものなど、微炭酸のエッフェルヴェシェンテ・ナトゥラーレなどいろいろ。風味や飲み心地のバリエーションが豊富なミネラル・ウォーターは、イタリアでは、飲み水というより「好みで選ぶ飲み物」としての位置付けにあります。

ところで、ミネラル・ウォーターの味の決め手となるミネラルですが、実際どんなものかと、我が家にあったフェラレッレの成分表を見てみたところ、カルシウムがなんと1リットルあたり392㎎もありました!厚生労働省による成人男子1日の必要量は380~660㎎ですので、とりあえずカルシウムは、1本飲めば楽々クリアです!スーパーマーケット価格では、1本あたり0.5ユーロ(65円※2013年7月現在)で天然ミネラルも取れるなら、安いかもしれません?!

身体の半分以上は水分。失われた水分を補うにふさわしい水分は何か?なんて考えながら、今日の飲み物を選ぶのもまたオツなもの。これからますます暑くなります。夏バテ・熱中症予防にも、どうぞ良質な水分を補給して下さいね!

ワンポイントイタリア語講座

意味:いつも買うミネラル・ウォーターの銘柄は何?

ミネラル・ウォーターは、acqua mineraleです。水道水は、acqua dal rubinetto(アクア・ダル・ルビネット). rubinettoが「蛇口」です。