イタリア 万歳

水滴を放置しておくと白く石灰化!
カルシウム分の多い水でお肌もゴワゴワに?!
(text & photo by 岩田砂和子)

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イタリアの水は、いわゆる硬質。ミネラル分が多く、健康やダイエットに「よさげ」ではありますが、それはミネラルウォーターに限ってのこと。水道水は、ミネラル分でも特にカルシウム(イタリア語では「Calcioカルチョ」といいます。ちなみに、サッカーも同じ字面&発音)が多く含有されているため、実生活の中で困ることもしばしば。特に、水質のいい日本からきた日本人にとってみると、「うわ~なんだこれはっ!」と日常生活の中で驚かされることがしょっちゅう起こります(涙)。

例えば、キッチンのシンクに水滴を放置しておくと、空気が乾燥しているイタリアゆえ、ステンレスのシンクは数時間で白い石灰跡だらけに! そのため、キッチンを使った後はいちいちシンク周りの水滴をきっちり拭き取らなければなりません。もちろん、石灰跡を残してても気にならない人なら放置してもよいのですが、それでも最低1週間に1回は「Anti Calcareアンチ・カルカーレ」という石灰除去成分の入った洗剤でケアしないと、石灰が溜まりに溜まってガッチガチ。そこに埃や油汚れも混ざって、世にもみすぼらしい状態に成り果ててしまうのです(なぜそんなことを知っているかといえば、もちろん経験済みだから)。ガラス食器も拭かないと、白い石灰で表面はカピカピ。結構面倒な作業が日常生活に強制的に組み込まれています。

シャワー&バスは、さすがに毎度毎度拭き取れませんから(イタリア人の中にはきっちり拭き取る人もいます)、1週間毎にまとめて件の洗剤でケア。怠ると、シャワーヘッドが石灰で詰まる!なんてことも起こります(こちらも経験済み)。

硬水の水道水は、石灰跡と水周りに残すだけでなく、身体にも多分に影響があります。それは、お肌と髪。イタリアにしばらくいると、お肌はザラっと、髪もゴワッと、なんとなく全体的な体表面の手触りが固くなってきます。イタリア旅行中にそんな風に感じたことがある人もいるのではないでしょうか?ステンレスやガラスをたちまち曇らせ、シャワーも詰まらせるだけのカルシウム分。同じことが体の表面に起きるのかと思うと…ゾゾゾ。シャワーの後は、つい垢すり強度で身体をゴシゴシ拭いてしまいます。

洗顔も、もっぱら拭き取りのヨーロッパ式に変えました。日本流にオイルクレンジング&ザブザブ洗顔をすると、乾燥するわ、ゴワゴワするわ。ヨーロッパの暮らしを知らないときは、拭き取り式洗顔って本当に汚れがとれるの?と疑問でしたが、いやはや、これは硬質の水の地域に暮らす女性たちの知恵。乾燥&硬水のイタリアでは、拭き取り洗顔、しかもミルク系がお肌に負担が少なく有効だと実感します。

しばらくイタリアにいて日本に戻り、2,3回お風呂に入ると元の肌と髪の柔らかさを取り戻せるので、今はなんとなくやり過ごしていますが、カルシウムがたまって取れなくなるときがいずれくるかもしれないと思うと、「私自身もたまに「Anti calcare」で洗ってみたらどうかしら」なんて危険な誘惑にかられることもあります(苦笑)。

ちなみに日本茶も、イタリアの水道水で入れるとキレイな緑色が出ず、こげ茶色。非常にまずい飲み物になるんですよ。日本の軟水、イタリアの硬水で生活をしていると、その良さに改めて気付かされます。

ワンポイントイタリア語講座

意味:この水道水、飲める?

「Rubinetto ルビネット」は蛇口。「Acqua da rubinetto」で蛇口の水。つまり水道水の意味になります。イタリアは都市によって水質が違います。水道水が直接飲めるところとそうでないところがあります。ローマは地下水が流れ、美味しいと言われています…が、どうでしょうか…。