イタリア 万歳

意外?野菜嫌いのイタリアの子供たち
マンマの工夫で野菜の美味しさを教えたい
(text & photo by 岩田デノーラ砂和子)

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地中海の太陽をたっぷり浴びて育ったイタリアの野菜は、味が濃くて美味しい!オリーブオイルと塩だけで、新鮮な野菜をバリバリ食べたい!…などとを思うのは、頭で健康を考えられる大人に限られるようで、ジャンクフードが生まれたときから身の回りにあふれる現代のイタリアの子供たち。
スローフードもなんのその、野菜が嫌いな子も結構多いのが実情です。

 数か国語を操りビジネスウーマンとして忙しく働くシルヴィアさんは、13歳を筆頭に三人の子供がいるアラフォーのイタリアン・マンマ。「子供たちには、バランスのとれた食事の大切さを教えてますが、放っておくとファストフードやスナック菓子ばかりになる」なのだそう。

「野菜が嫌いなのは私たちだけじゃない」と訴えるシルヴィアさんの子供たちですが、そんな言い訳が通用しないのは世界共通。シルヴィアさんが観察したところ、子供たちが野菜を嫌いな原因には、味というより、固さや食感にありました。

「食感で野菜を嫌いになられては困る」と考案したのが、「まとめて作るマンマ特製ズッパ」です。お祖母ちゃんから受け継いだテラコッタの鍋で数種類の野菜を煮込んで作るスープです。

作り方は、至って簡単。ニンジン、ポロねぎ、ほうれん草、キャベツなど、季節の野菜を5~7種類をテラコッタの鍋でグツグツ煮込み、ハンドブレンダーでポタージュ状にするだけです。「野菜だけで十分深い味になる」そうで、味付けは少量の塩のみ。冷めたところで、空き瓶などの容器に入れて、冷凍保存しておきます。

コトコト煮るのは時間もかかりますが、「月に2,3回、時間ができたときに、気合を入れて大量に作り置きします。朝、冷凍庫から出しておけば、夜には自然解凍されているので、再びテラコッタ鍋で再沸騰させ、パスタやお米、麦、スペルト小麦などを加え、ひと煮立ちさせれば出来上がり。オリーブオイルやパルミッジャーノ・レッジャーノチーズをかけていただきます。」

加える穀類を替えて、週に3回は食べるマンマ特製ズッパ。「野菜が嫌いなはずの子供たちも、これはよく食べてくれます。やっぱり本当に美味しいものは、本能的にわかるんですよね。ただ、7種類以上混ぜると、複雑すぎてむしろ美味しくなくなるみたい。うちの子たちには、5~7種類ぐらいが丁度いい」。ボリュームを出したいときは、レンズ豆やインゲン豆などの豆類で作る豆バージョンも。

ところで、ハンドブレンダーで作る野菜のズッパは、イタリアでは、離乳食の定番です。いわば、シルヴィアさんの「マンマ特製ズッパ」は、離乳食からの発展型。「成長に合わせて加える野菜の種類が増えたけど…、うちの子供たちは、まだ離乳食なのかも!」生意気盛りだけど、まだまだマンマのバンビーニ。離乳食並みに食べやすい愛情たっぷりのマンマのズッパで、野菜の美味しさを覚えているところなのです。

ワンポイントイタリア語講座

ケ・ヴェルドゥーレ・チ・ソノ・デントロ?
意味:中に何の野菜が入ってるでしょう?

Verduraは野菜。ブレンダーで潰した野菜ズッパの中身が当てられるようになったらエライもんです。