イタリア 万歳

イタリアで白と言えば、モッツァレッラチーズ。
水牛のモッツァレッラは、やっぱり格別!
(text & photo by 岩田デノーラ砂和子)

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イタリア国旗は、緑・白・赤の3色。それぞれの色の意味には、緑=希望・大地、白=信頼・賢明、赤=情熱・博愛などと言われています。緑=バジリコ、白=モッツァレッラ、赤=トマトでも良さそうですが、それは、ナポリが誇るピッツァ・マルゲリータの具材。でも、イタリアを代表する名産品ばかりなので、それでもいいような気はします(多分イタリア人にも異論はないのではないかと想像)。
 
そんなわけで、白と言えば、イタリアではモッツァレッラ・チーズ。
バカンス三昧の夏が終わり、街中に日焼け肌が溢れる秋に、白肌でいる人のことを「モッツァレッラのようだ」と表現することもあります。未だに「夏は肌を焼く」を信条としている、クラシックなイタリア人にとっては、多少からかいの意味もなくはないですが、モッツァレッラ…その感触はスベスベ、モチモチ…。もち肌ならぬ、モッツァレッラ肌。そう呼ばれて悪い気はしません。
 
白くてスベスベして、モチモチのモッツァレッラ。製造過程の最後、焼きたてのお餅のように柔らかい塊を、職人さんが二人で引きちぎり合いながら、小分けにしていきます。「ちぎる」はイタリア語で=mozzare モッツァーレ。「モッツァレッラ」の語源は、その様子を表しています。
 
モッツァレッラチーズには、DOPに指定されている水牛のモッツァレッラと、普通の牛乳から作る乳牛のモッツァレッラの2種類があります。DOPは、「Denominazione di Origine Protetta」の略。伝統的な食材に対し、品質・産地保護のため、特定地域で産出さる食材にのみつけられる名称のことで、いわゆるブランドです。

水牛のモッツァレッラは、「モッツァレッラ・ディ・ブッファラ・カンパ―ナ」が正式名称。ナポリ近郊のカゼルタ、サレルノを中心に、ラティーナ、べネヴェントなどで飼育される水牛から、生産されたものだけをこう呼ぶことができ、乳牛のモッツァレッレとは、一線を画す存在です。
 
ちなみに、乳牛のモッツァレッラは、「フィオル・ディ・ラッテ」もしくは、「モッツァレッラ・ディ・ヴァッカ」と呼ばれます。ローマから南のイタリア各地では、比較的よく見かけるチーズです。
 
もちろん好みですが、やっぱり「モッツァレッラ・ディ・ブッファラ」は格別。いわゆるご当地ものなので、なかなかなどうして、イタリア国内でもご当地以外では、貴重な存在です。「新鮮な「本物」のモッツァレッラ・ディ・ブッファラがあるよ。」と聞いて、ゴクリと生唾を飲みこまなかったイタリア人には会ったことがありません。といっても過言ではないほど、イタリア人も大好きなチーズ。
 
食べ方は、スライスにトマトとバジリコを挟んだカプレーゼ(カプリ風サラダ)が有名ですが、もし、「新鮮な「本物」のモッツァレッラ・ディ・ブッファラ」が手に入ったのなら、もう、そのままいただくのがヨロシ。トマトを挟んでいる時間が待ちきれない!のもありますが、飾らずとも十分に魅惑的だからだからです!
 
テーブルにドンと置かれたモッツァレッラのスベスベ白肌にナイフを入れれば、跳ね返すような弾力。そんな弾力に負けじとナイフをグッと差し入れれば、ジワリとしみだす濃厚な水牛の乳。瑞々しさの中に、プリプリとした歯ごたえも感じます。
 
そろそろオリーブの収穫期。新鮮なオリーブオイルをタラリとかけて、味のバリエーションを楽しむのも本場イタリア流です。オイルのボトルのキャップを開けるくらいの時間は、理性で待てるから!というのもありますが、しみだした乳とオイルが混ざったところを、パンにつけて食べるのも、またオツだからです。

ワンポイントイタリア語講座

意味:モッツァレッラチーズのように白いね
 
日焼けが好きなイタリア人に対しては、悪口のカテゴリーですが、日本人にとっては褒め言葉。