イタリア 万歳

イタリアの主食ともいえるパスタ
イタリア人はどうやって選ぶのでしょう?
(text & photo by 岩田砂和子)

上
下

「イタリア人って普段、何食べてるの?やっぱりパスタ?」などと聞かれることがたまにあります。イタリアで食べられる炭水化物は、リゾットやサラダにするお米、どんな食事にも欠かせないパン、そしてピッツァ等々ありますが、やっぱりパスタが主食の王様。その種類は「毎日食べても365日違う種類のパスタが食べられる」と言われる程、多種多様に及んでいます。

多種多様なパスタ、まずは、ルンガ(長い)パスタとコルタ(短い)パスタに大別できます。前者はスパゲッティやリングイネ、後者はペンネやマッケローニなどが代表的ですが、スパゲッティなら細いカッペッリーニやら、ちょっと太目のベルミチェッリ、穴空きのブカティーニ、ペンネなら筋入りのペンネ・リガーティやら小ぶりのペンネッテなどなど、それはそれは細かく種類があり、代表的なパスタだけでも数十種類羅列が可能。そこに加えて、貝の形のコンキリエやパイプの形のピーぺ、螺旋状のフジッリ、このフジッリの長いバージョン、フジッリ・ルンギ、さらにこれの穴空き状のフジッリ・ルンギ・ブカーティなどなどなど…。覚えるのも大変です。

またさらに、それぞれが箱や袋状で売られている乾燥パスタか、打ち立ての生パスタかどうか、さらにさらに、小麦粉の種類や卵入りか否か、などと分類していけば、なるほど、365日違う種類のパスタを食べることも可能だなと納得できます。

さて、そんな星の数ほどあるパスタの中から、今夜の一皿のためにどうやって一種類を選び出すのでしょう?パスタ=小麦粉の麺との認識だけだと、「どれを食べても一緒かも。」なんて思ってしまいそうですが、ところがどっこい。パスタの種類を選ぶことは、メニューを決めるのと同義語。パスタ料理は、選んだ具材を生かすも殺すもパスタ次第といったところがあり、一食入魂のイタリア的食卓では、なんでもいいというわけにはいきません。

「ツナのソースが食べたい。」となれば、パスタの穴の中にうまい具合にツナが紛れ込む短くて穴の空いたパスタを選び、「トリュフが手に入った。」となれば、トリュフと相性のいい卵入りのパスタを選びます。この具材とのコンビネーションがパスタ料理の妙であり、美味しさを決定付ける要因でもあったりするわけです。具材とパスタの種類が微妙に合わず、お皿に具材が残ってしまう。つまり、絡み方がイマイチ。そんなパスタ料理は、「カレーなのにゆるいご飯炊いちゃって。」そんな感じの合わなさ加減でとても残念な一品になってしまいます。

パスタ料理は主食でありながら、和食における「おかず+ごはん」というより、「おかず×パスタ」で完成する気合の入った一皿。そんな位置づけで慎重に選ばれるべき大切な食材なのです。スーパーマーケットのパスタコーナーに足を踏み入れれば、両脇の棚一面にずらりと並んだパスタ。めくるめくパスタの世界は奥深く、いくら日本でパスタ料理が日常的に食べられるようになったと言えど、ああ、まだまだ異文化だなあと感じさせられることしばしばなのです。

ワンポイントイタリア語講座

意味:今夜、何食べる?

マンマが君臨し、食卓のすべてを牛耳っている場合を除き、家族やカップル間で交わされる日常的な会話。家族の揃う夜の食卓、意見を交わしてメニューを決めるのは、とても楽しい時間です。