イタリア 万歳

最近の主流は夕食よりもアペリティーボ
イタリア流のお家飲み会を開いてみては?
(text & photo by 岩田砂和子)

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忘年会・新年会の多いこの季節、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?外食も増え、体重も増え、でもお財布は軽くなる。そんな状況が増えるこの時期、イタリアの飲み会事情を考えてみました。

いわゆる「飲み会」という言葉はイタリア語にはありません。その雰囲気を表すのに、一番近い言葉は、多分「Aperitivoアペリティーボ」でしょうか。アペリティーボの本来の意味は、夕食や昼食前に飲む軽い食前酒のこと。しかし、ここのところ、すっかり定着した「ハッピーアワー(食前酒+ビュッフェスタイルのおつまみが並ぶサービス)」の影響で、「軽い食事を兼ねて飲む」意味に変わりつつあるのです。

以前は、スナック類やサラダ、ミニパニーノやミニピッツァが並ぶハッピーアワーを経てもなお、「こんなものでは食べた気がしない」と、その後夕食を食べていたイタリア人たちもいましたが、ようやく食べ過ぎに気付いたのでしょうか?ハッピーアワーの後に、夕食に流れることはほとんどなくなりました。最近では、アペリティーボに始まったら、アペリティーボに終わるのが主流になっています。

アペリティーボだけに、集合時間も夕食(通常20時半~21時)と比べて早め。19時頃から集まり、飲みながら、適度につまんでおしゃべりする様子は、日本の「飲み会」にそっくりです。

バールやエノテカに集まることもあれば、家で開催することもしばしばあります。「お家アペリティーボ」は、ワインとグラスとブッフェ形式におつまみがあれば、それでOK。テーブルセッティングも、人数分の食事を用意する必要もなく、招待する方もされる方も気軽なのが魅力です。

ある日の友人宅で開催された「お家アペリティーボ」のメニューがこちら。
・赤ワイン2種/白ワイン2種
・サラミ、生ハム、チーズなど数種
・星型やツリー型にカットしたカナッペ用のトースト
・バター3種(アンチョビとケッパー、サーモン、ローズマリー)
・ムース2種(生ハムとルッコラ)
・サラダ2種(お米のサラダ、お豆のサラダ)

ムースは、生クリーム(もしくはクリームチーズ+牛乳)+具材+塩・胡椒適宜をフードプロセッサーにかけるだけ。バターは、適温に戻したバターに具材を練りこむだけ。どちらもあっという間にできます。

パテ類も器のまま、サラミやチーズも塊のまま並べて、「パンに塗ったり」「切ったり」「盛ったり」する作業もお客様にお任せ。でも、そんな作業が招待客同士の会話のきっかけを生んで、楽しく盛りあがる演出にもなっていました。

19時に集合して、…気づいたら22時。「お腹すかない?」と誰かれともなく言い出したら、アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノが最後に出ました。これって、いわゆる「しめ」の炭水化物かも…?ますます日本の「飲み会」に似てきている最近のアペリティーボです。

ワンポイントイタリア語講座

意味: 家でアペリティーボやらない?

手軽で簡単な「飲み会」も「アペリティーボ」と呼べばなんだか最新イタリア風。経済的にも時間的にも助かる「お家アペリティーボ」、ぜひ皆さんのご家庭でも試してみては?