イタリア 万歳

届いたり届かなかったり…
イタリアの郵便は運だめしにも使えます
(text & photo by 岩田砂和子)

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「郵便は出せば届くもの」そんな当たり前の考え方は、ここイタリアでは通用しません。イタリアの郵便…それは、とても気まぐれなもの。

先日、遠方から仕事で必要な書類を郵送してもらう必要があり、とても重要な書類だったので「Raccomandataraラッコマンダータ」という方式をとってもらいました。いわゆる「郵便書留」のことです。これで出すと、郵便配達が郵便受けに入れず、Citofonoチトフォノ(ブザー)を押して、手渡しをしてくれるので安心確実。不在の場合は不在通知が郵便受けに残されるので、その通知を持って最寄りの郵便局に取りに行きます。

送ってもらった書類は、A市とB市からそれぞれ1通ずつ。ゆえに2回、我が家のチトフォノが鳴るはずですよね。送ったという日から2日後、チトフォノが鳴りました。A市からの書類が無事到着、サインをして受け取りました。さて、B市の書類は?翌日もその翌日も届かない。そして翌々日、ふと気付くと、郵便受けに不在通知を発見。私はこの3日間ずっと家にいましたが、チトフォノが鳴った記憶がありませんでした。

仕方がないのでこの不在通知を持って、最寄のC郵便局に行くと…「照合できないわ」。と言われました。日本と同じで、不在時に郵便配達員が書き込むナンバーをコンピューターに打ち込んで照合し、引き取り手続きをするのですが、なんとその数字に合う郵便物がない?!と言うのです。「D郵便局にある配達センターに行って聞いてみて」。とのこと。そんなぁ…と思いましたが、仕方ありません。わざわざバスに乗って、その配達センターに行ってみると、「ああ、配達センターは、最近移動しちゃったんだよね。E郵便局にあるから、そこに行ってみて」。…イタリア名物タライ回しですか…。

「E郵便局は午前中しか開いていない」という唯一の情報をもらい、翌朝地下鉄に乗ってE郵便局に行きました。そこで不在通知を見せると、「あら、これ数字が一つ足りないわよ!」。12桁あるはずの数字欄が11桁までしか埋まっていないのでした。これじゃあ、探せるものも探せません。「どうしましょう?」とアタフタすると、「そうねぇ、送り主に電話して番号を確認したら?」と言われました。書留は送り主がふるナンバーで最後まで管理されるのです。送り主の「控え」に正しいナンバーが記載されているはずだから、と。

電話して「控え」のナンバーを確認し検索すると…最初に行ったC郵便局にありました…。我が家とC郵便局は歩いて5分。1件の郵便を受け取るまでに、ぐるりとローマ市内をひと回り。1泊2日もかかってしまいましたが、つい、「あってよかった。」と言ってしまいました。習慣とは恐ろしいものです。

しかし、なぜ最初のC郵便局員は11桁に気付かなかったんだろう?それに、郵便センターがD→Eに移ったことを、知らなかったの?いや、そもそもなんで 12桁の数字を11桁までしか写してないの?!ううん、それ以前になんでいきなり不在扱いだったのぉ?!もう、謎は深まるばかりですが、追及するのも時間の無駄。カスタマーセンターに電話したって、まずつながりませんから。苦情がいっぱいで。

ポンっとポストに投函した手紙が、たったの4日で日本に到着することもあれば、クリスマスカードが真夏に届いたり、ああ、そういえば、日本から送られた段ボールひと箱分の雑誌が、消えてなくなったこともありました。届いたり届かなかったりは、その人の運次第。イタリアの郵便局…運だめしもできる世界でも珍しい郵便事情なのです。

ワンポイントイタリア語講座

意味:ラッキ~♪

男性なら「Sono fortunato」(ソノ・フォルトゥナート)と語尾を変えます。副詞「幸運にも」は、「fortunatamente」です。Ho trovato la lettera fortunatamente(オ・トロヴァート・ラ・レッテラ・フォルトゥナータメンテ)で「幸運にも手紙を見つけたわ」。ちなみに語幹が同じ「Fortuito」(フォルトゥーイト)は「偶然に」の意味で、この副詞はFortuitamente(フォルトゥーイタメンテ)。偶然と幸運はとても近い表現。まさにイタリアの郵便事情です