イタリア 万歳

不安定な気候の3月は、体調を崩しがち。
具合が悪い時のイタリアの食卓は?
(text & photo by 岩田砂和子)

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3月に入りましたが、まだまだ寒い日がありますね。冬から春へと季節が移り変わる時期の天候が不安定な様子を、日本では「三寒四温」と表現したりしますが、イタリアにも似たような表現があります。

「Marzo marzo pazzarello, vedi il sole e prendi l'ombrello.」 (マルツォ・マルツォ・パッツァレッロ、ヴェーディ・イル・ソーレ・エ・プレンディ・ロンブレッロ)

意味は、「三月、三月、おかしな季節。太陽を見たら、傘を持って行け」。四字熟語に比べると、なんだかかわいらしい童謡のようですよね。

こんな季節の変わり目は、体調を崩しやすいもの。風邪を引いたり、お腹を壊したり。それは、いつも元気で丈夫そう(?)なイタリア人も同じです。

さて、具合の悪い時イタリアの家庭では、どんなものを食べているのでしょう?イタリアでは、ご存知のようにパスタが主食。具合が悪い時も、やっぱりパスタを食べるんでしょうか?答えは 「Si」。ただし、具はなし。とてもシンプルなものになりますが、そこはやっぱりイタリアでして…

病人食で代表的なパスタ料理は「Pasta in Bianco(パスタ・イン・ビアンコ)」。トマトもなし、ニンニクもなしの茹でただけのパスタです。アルデンテにはこだわらず(笑)、少々長めに茹でたパスタをお皿にあけ、茹で汁を少々をかけたもので、それは、まったくお粥と同じ感覚。しかし、そんなさっぱりとしたパスタに、イタリア人はエクストラ・バージン・オリーブオイルを一筋。さらにパルミッジャーノ・レッジャーノチーズをかけます!

初めてこの様子を見たときは、「オイルやチーズなんて、消化に悪そう!」とつい思ってしまいましたが、イタリアでは、良質なオリーブオイルやパルミッジャーノ・レッジャーノチーズは、栄養分豊富な上、とても体に良いものとして生活のなかに根付いているもの。どちらも離乳食として、赤ちゃんに与えられるほどに、信頼されているものなのです。

また、体調によっては、お湯で茹でるだけでなく、野菜のブロード(コンソメスープ)や野菜をみじん切りにして良く煮込んだミネストローネを合わせることもあります。それでもやっぱり最後は生のオリーブオイルとパルミッジャーノチーズで仕上げます。

パスタは、通常のサイズのものも使いますが、「Pastinaパスティーナ」と呼ばれる小粒のパスタを使うこともあります。そして、パスタの替りにお米を使うことも。いや、むしろ具合が悪い時はRisoリーゾ(お米)が登場することが多いかもしれません。これは「Riso in Bianco(リーゾ・イン・ビアンコ)」と呼ばれます。グツグツと煮たお米は、まさにお粥…ではありますが、やっぱり仕上げはオリーブオイルとパルミッジャーノ。元気なときならどうってことはないですが、さすがに具合の悪い時は、「お粥にはやっぱり梅干が…」などと思ってしまいます。病人食もお国変われば、です。

ワンポイントイタリア語講座

養生してね!お大事に!

vol.49 イタリアの花粉症でご紹介した「 Salute!」は、どちらかというと、元気であることを前提に使い、本当に具合の悪い人には使いません。「Abbi cura di te!」は、日本語で言うところの「大丈夫?お大事にね」に近い感覚になります。