イタリア 万歳

花粉症の原因になる花粉は杉だけにあらず。
イタリアでは、オリーブやヨモギも?!
(text & photo by 岩田砂和子)

上
下

そろそろ花粉が飛び交う季節。日本では「花粉症」に悩まされる人が年々増加していますね。実はワタクシ、まだ(?)花粉症ではないんですよね。「イマドキ花粉症じゃないなんて、珍しい」。だの、「現代人じゃないんじゃない?」などと、花粉症でお悩みの友人知人に責められておりますが(ヒドイ!)、花粉許容量が超えると、突如としてなるなどと聞いたこともありますし、近々現代人の仲間入りを果たすのではなどと心配しています。

「イタリアにいる限り花粉症にならないのでは?」と言われることもありますが、ところがこの花粉症、日本特有のものではないんですよね。そう、イタリアにも花粉症はあります。イタリア語では「Pollinosiポッリノージ」。もしくは、「Febbre da fienoフェッブラ・ダ・フィエノ」と呼ばれます。ポッリノージは、花粉「Pollineポッリーネ」から派生した言葉なので、意味はそのまま「花粉症」ですが、フェッブラ・ダ・フィエノは、「枯草熱」の意味になります。

枯草と花粉の関係性が今ひとつピンときませんが、これは、枯草を取り込む季節になると、目のかゆみやくしゃみ、風邪のような症状を突然発症する人が多く出現することからつけられた名前の名残。19世紀初頭にイギリスで、これらの不快な症状の原因は、枯草刈り入れの時期になると飛び交うイネ科カモガヤの花粉と発見されましたが、枯草に触ると起きると考えられていた当時のまま、今でも似たような諸症状に対して通称のように使われています。

イタリアの花粉症の原因は、Graminaceeグラミナチェ(イネ科の植物)を筆頭に、ambrosiaアンブロシア(キク科ヨモギの一種)や Faggioファッジョ(ブナ)、さらには、Noccioloノッチョーロ(ヘーゼルナッツの木)、Margheritaマルゲリータ(フランス菊)や Olivoオリーヴォ(オリーブの木)まで!言わば、ありとあらゆる植物が原因に。しかもこれらの花粉が飛び交う季節は、2月下旬から、なんと9月一杯。原因もさまざまだし、季節も長い。いわば、春から秋までは、何かしらの植物の花粉に悩まされている人が、いつもどこかに密かに存在するわけです。

また、イタリアでマスク姿を見かけることはほとんどありません。これだけ高機能な花粉症対策マスクが氾濫している日本からは想像もできませんが、風邪でも花粉症でも、マスクで顔を覆う発想自体がないんですよね。それは、正当な理由なく顔を隠すと刑法に違反するケースもあり(花粉症が正当な理由に値するかどうかは謎ですが)、不用意にマスクなどして歩けば怪しさ満点で、職務質問なんてことにもなりかねないから。一般的ではないので、マスク自体を知らない人も多いものです。

マスク姿も見かけないし、マスコミでも騒がれないけど、実はさりげなく花粉症に悩む人がいるイタリア。春から秋に行く機会があったら、日本の高性能マスクをお土産にすると喜ばれるかもしれません。ただし、外で使えないからあまり意味はないかもしれませんが…。

ワンポイントイタリア語講座

意味:お大事に!

乾杯のときに使う言葉として有名ですが、実は、くしゃみをした人にかける言葉でもあります。街を歩いていて、電車やバスの中で、「ハックション!」とやれば、誰かが「サルーテ!」と声をかけてくれます。それは知らない相手でも(笑)。「サルーテ!」と言われたら、「グラッツェ」と返します。