イタリア 万歳

ボジョレー、ノヴェッロ・ワインときたら、
次はオリーブオイルの「初物」を!
(text & photo by 岩田砂和子)

上
下

イタリアも秋はグルメの季節。8月末から始まるブドウの収穫Vendemmia(ヴェンデンミア)、フンギ・ポルチーニ、栗・カスターニャ、黒・白トリュフの収穫など、この時期ならではの味覚が出揃う時期で、イタリアの農家は大忙しです。そして11月は、オリーブの収穫がピーク。たわわに実ったオリーブを手でしごきながら丁寧に収穫し、11月後半となれば、お待ちかねの「搾りたてのオリーブオイル」が登場します。

ボジョレーヌーヴォーが解禁になり、それより一足早くイタリアのノヴェッロ・ワインも届く11月。 ワインの「初物」はすっかり日本でも浸透した感がありますよね。しかし、これらはお祝い気分を満喫するものであって、 美味しさを味わう…のとはちと違います(vol.20 晩秋の風物詩ノヴェッロを楽しむ)。 真のイタリア食通が待っているのは、そう、この搾りたてオリーブオイルである「ノヴェッロ・オイル」。 オイルも初物はノヴェッロと呼びます。

収穫から仕込み、そして熟成過程を経て、味がまとまるのを待つ必要があるワインとは異なり、 オリーブオイルは新鮮なものほど美味しく、価値が高くなります。それ故、強制的に作るノヴェッロ・ワインに比べると、 ナチュラルに新鮮な風味を楽しめる点が、この絞りたてのノヴェッロ・オイルの良さ。 それこそ旬の味というわけで、「初物」ならではの魅力はより一層高まります。

オリーブの搾油方法にはいくつかありますが、基本的には、収穫→粉砕→圧縮→分離の過程を経て、オイルが抽出されます。イタリアでは、巨大な石臼でゴロゴロと種ごと粉砕する伝統的な方法で搾油しているFrantoioフラントイオ(オリーブ搾油場)もまだたくさん残っています。太陽をさんさんと浴びて育ったオリーブのエネルギーをそのまま抽出した天然のオイルは、口に入れただけでなんだか健康になりそうな、そんな味と香りがします。

オリーブオイルの主成分は、血液中の悪玉コレステロールを減らし、老化の原因とされる活性酸素の活動を抑える抗酸化効果があると言われるオレイン酸。そして、老化予防や美容効果があると言われるビタミンやポリフェノールも豊富に含まれます。つい敬遠されがちな油ですが、新鮮でクオリティの高いエクストラ・ヴァージンオイルなら、むしろ摂取した方が良さそうなくらいの健康パワーが満載。それは口に入れるだけで感じるほど…(本当ですよ)。

「初物」のノヴェッロ・オイルは、その健康的な味と香りを楽しむため、生でいただくのが鉄則。お肉、魚、サラダと何に使っても美味しいですが、何はともあれオイルが主役になるこの食べ方がおススメです。

1. バゲットをスライスし軽くトーストする。
2. 焼き上がりの熱々のパンの表面にニンニクをこする。
3. 天然塩をパラパラッと振り、オイルをたっぷりとかける。

塩気の少ないパンなら、そのままオイルをかけてもOK。オリーブオイルの美味しさで決まる究極のブルスケッタ。ノヴェッロ・ワインと合わせて、ノヴェッロ尽くしのパーティなんてできたら最高ですね。材料さえ揃えば、5分で出来る簡単メニュー。これからクリスマスや忘年会、新年会とパーティの季節。どうぞ機会があればお試し下さいませ。

ワンポイントイタリア語講座

意味:さあ、ノヴェッロ・オイルの季節到来です!

「Ecco(エッコ)」は、「さあ」、「ほら」、「ここに」、「そうだ」などの意味があり、日常的にとてもよく使われる便利な表現です。「お塩どこ~?」「ほら、ここにあるよ」なら、「Dov’e’ il sale?(ドヴェ・イル・サーレ)」「Ecco, qua(エッコ・クア)」。「Eccomi(エッコミ)!」と言えば、「私がここに」つまり「お待たせ!」となります。