イタリア 万歳

手打ちパスタは慣れると意外に簡単。
イタリアの家庭では、お米を研ぐ感覚で打ってます!
(text & photo by 岩田砂和子)

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長細いもの、穴あきのもの、丸いものなどなど、種類豊富なパスタ。大別すると箱入りや袋入りで売られている乾燥した「パスタ・アシュッタPasta Ascitta」と生めんタイプの「パスタ・フレスカPasta Fresca」があります。値段も安く(500g1ユーロ前後)保存も利く乾燥パスタが主流ではありますが、やっぱり生めんタイプが美味しい。パスタ・フレスカは、スーパーマーケットや食材店・専門店でも買えますが、家庭で作るマンマの手打ちパスタにかなうものはありません。

そもそも、乾燥パスタ自体が広く使われるようになったのはごく最近(といってもここ30年位?)のことだそうで、 それまではどこの家庭でもパスタは手打ちだったそうです。手打ちパスタと言えば、 平たいパスタ生地を包丁で切るだけのタリアテッレやフェットチーネを想像しますが、 なんと、穴あきのブカティーニ(スパゲッティに穴があいているロングパスタ)や、 ペンネまで手作りしてたと言うから驚きます。 穴あきのパスタは、小豆大のパスタ生地を針金にこすりつけながら伸ばしてスルリと針金を抜いて、 リボンの形のファルファッラは、長方形に切って真ん中を山折谷折にして…。ひとつひとつ丁寧に形にしていたそうです。 気の遠くなる作業ですが、家族が食べる美味しい食事のためには背に腹は変えられぬ。 パスタひとつひとつ、一本一本にマンマの愛情が込められたパスタ。これぞまさしくイタリアが世界に誇ってきたマンマの味です。

今は便利な乾燥パスタもあるし時間も許さないので、なかなかそこまで手の込んだ手打ちパスタを作るのは難しいですが、 平たいパスタ生地を使うカンネッローニやラビオリ、ラザニア、切るだけのタリアッテレなどは、手早くできるので家庭で手打ちします。 多少作業が減ったとしても、マンマの愛情が減るわけではないですし、自家製手打ちパスタは家族にとってはいつでも魅力です。

イタリアの家庭でパスタを作る様子を見ると、それはほとんどお米を研ぐ時間と変わらない早さ。もちろん手慣れた作業だからではありますが、「え?こんなに早くできるの?」と拍子抜けするほどです。イタリアの経験豊富なマンマに聞いた簡単!手打ちパスタレシピをご紹介しましょう!

~手打ちパスタ基本レシピ(約2~3名分)~
・ 強力粉 50g+α
・ 薄力粉 50g+α
・ 卵1個
・ 白ワイン 卵の殻半分量
・ 塩、オリーブオイル少々

αの部分は、捏ねながら足していく量です。天候、卵の大きさによって変わるものだし、出来上がりの好みにもよるものだから、「正確な分量は誰にもわからない」そうです。

だいたいどこの家庭にもパスタ台なるものがあり、粉を混ぜたり、捏ねる過程はすべてこの台上で行われます。たいそうなものではなく、1m×80cmほどの単なる平たい板ですので、打ち粉をまぶしたテーブルで代用可能。ボウルなどを使う必要ありません。

1. 粉を台に山状に置く。真ん中をへこませ卵、白ワイン、塩、オリーブオイルを入れる。

2. 片手の指を開いてフォーク状にして、内側から外側に混ぜていく。

3. 全体が混ざったら、ひとつにまとめる。

4. 手の平の腹の部分で内側から外側に押し付けるように捏ねていく。
Point:捏ねながら強力粉:薄力粉=1:1の割合で状態を見ながら足していく。最終的に総重量は200g前後になります。

5. 耳たぶより固い、ゴムボールよりや柔らかい状態になったら出来上がり。 Point:固さは湯で時間、食感を左右するもの。お好みに合わせればOKだそうです。

伸ばす作業はパスタマシーンがあれば便利ですが、打ち粉をした台の上で麺棒でも簡単です。包丁で2等分したパスタ生地を麺棒で、タリアテッレなどは5mm程度、ラザニアは2~3mm程度に伸ばします。

出来上がったパスタは冷凍で1ヶ月は保存可能。週末など時間があるときにぜひ作ってみてください。

ワンポイントイタリア語講座

意味: 手打ちパスタ、作らない?!

ファッチアーモは、動詞 fare ファーレの1人称複数形。「一緒にやる?」と誘う言い方のときに使います。パスタ作りはとても楽しい作業でもあります。パーティのイベントとしてもおススメです。伸ばした後、切ったり形を作ったり、工夫次第でオリジナルパスタをクリエイトするのも一興。「ファッチアーモ?」と誰かを誘ってみてはいかがでしょう?