イタリア 万歳

本場イタリアのジェラートもピンからキリ。
ホントに美味しいジェラテリアを見つけるコツって?
(text & photo by 岩田砂和子)

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ジェラートはイタリア生まれ。その起源には諸説あり、シチリアのエトナ山に積もった雪をアラブ人が甘くして食べたのが始まりとか、初代ローマ皇帝ジュリオ・チェーザレがアペニン山脈の雪に蜜を混ぜて食べたのが始まりとか。いずれにしても、雪を甘くして食べたことがジェラートの起源ではあるようです。その後、皇帝ネロがアルプスの万年雪を届けさせ(さすが、悪名高いわがまま皇帝ネロだけあって、やることがゴージャス!)バラの香りやハチミツで風味をつけたり、マルコ・ポーロの時代に中国から乳を凍らせた「アイスクリームの祖先」を持ち帰ったりと、ジェラートは進化を続け今の形になった模様。ジェラートに関しては2000年以上の歴史を持つイタリアなんですね。

北から南まで、各街に何軒もジェラテリアGelateria(ジェラート屋さん)はありますが、やはり本場は南イタリアかなと思います。ミラノやトリノやフィレンツェにも珠玉のジェラテリアはありますが、それはどうも「特別」な感じがしないでもなく、日常生活の中に自然とジェラートが入り込んでいるのはやっぱり暑い南イタリア。南イタリアでは、夏ならほぼ毎日食べるといっても過言ではありませんから。南イタリア最北端である私の住むローマには、星の数ほどのジェラテリアがあります。口の中で解けるようなデリケートな触感に素材の味を感じさせる丁寧な製法で作られたこだわりの逸品を食べさせてくれる名店もあれば、ベタベタの後味がしっかり残るとんでもない観光客仕様の店まで、それはピンからキリまで・・・。そんな中、美味しいお店を探すコツといえば、ずばり、夜中に地元客で混んでいるか否か。

ローマ以南のジェラテリアの中には、通常時期の閉店時間が19時位でも、夏季のみ夜中の1時、2時まで延長する店が多々あります。夕食後の23時過ぎあたりになると、人気のジェラテリアには行列ができるほど混雑が見られることも。ジェラートは夜食べるものなのか?あるときローマ人の友人に聞いてみたことがありました。「昼間の太陽の下ではすぐ溶けて味わえないでしょ。」とのこと。なるほど。添加物の入っていないナチュラルなジェラートは溶けるのも早い。日中40度にもなる真夏の炎天下ではひとたまりもありません。ならば冷房の効いた室内で食べればいいのにとも思いますが、それは「人工的に涼しい場所で食べても美味しくない!」んだそうです。

涼しくなるのを待って食べる価値があるほど美味しいジェラテリアは夜中に混む。ジェラートの本場イタリアのさらに本場の南イタリアの法則だから、あながち間違ってもいないでしょう。昼間は暑いし、涼風が吹き始める夕方では夕食の邪魔になる。ならば、というところで食後のデザートとして登場するジェラート。夜中に満腹のお腹を抱えてでも食べたい(食べられる?)ジェラートこそ、本当に美味しいとも言えましょう。イタリア人が食いしん坊であることを差し引いたとしても。ちなみに朝も涼しいですが、朝は「グラニータ・ディ・カッフェ」がありますから。

夕食後、御用達のジェラテリアに行けば必ず誰か知人に会う。そしてジェラート片手に立ち話に花が咲く。そんな人たちが店の外まで溢れかえっているようなジェラテリアなら、一度試してみる価値大です。

ワンポイントイタリア語講座

意味:何味にする?

イタリアのジェラテリアでは、ひとつのコーンやカップに2~3種の同時盛りが基本です。イタリア人に人気のフレーバーは、ピスタチオpistacchio やチョッコラートcioccolatoなど。ストラッチャテッラstracciatella(チョコチップ)やメリンガmeringa(メレンゲ)などもいいですね。フルーツ系なら夏が旬のペスカpesca(桃)やフィーキ・ディ・インディアfichi di india(インドイチジク)。最後にパンナpanna(生クリーム)を乗せて、いただきます!