イタリア 万歳

春のメインイベント、パスクア(復活祭)。
郊外バーベキューで春を満喫!
(text & photo by 岩田砂和子)

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イタリアには、キリスト教由来の行事が数多くありますが、1年のうち最も壮大なイベント・ナターレ(クリスマス)から始まり、1月のエピファニア、2月のカルネヴァーレ(謝肉祭)、そして、春のパスクア(復活祭)…と、冬から春にかけては、特に重要な行事が目白押し。太陽大好き、海大好きのイタリア人が寒く暗い冬を乗り切るために用意されたかのような絶妙なタイミングで、春を待つ冬にお楽しみイベントが続きます。とりわけパスクアは、その宗教的な意味からも、また春の到来を実感させる祝日として、ナターレ以上に楽しみなお祭りのひとつです。

イタリアでパスクアといえば、「Uova di Pasquaウォヴァ・ディ・パスクア」。これは、パスクアのシンボルである卵を象ったチョコレートで、手の平サイズから一抱えもあるほどの巨大卵まで大きさも様々。中には、卵の中にサプライズが入ったものもあります。パスクアの数週間前からバールや食材店、チョコレート専門店などの店頭に、キレイにラッピングされたチョコレート卵がずらりと並んだ様子は、この時期の風物詩でもあります。

パスクアは、十字架にかけられたイエス・キリストが復活する日、つまり真のキリストが誕生した日。肉体を犠牲にした後、本当の意味でのキリストの存在が誕生したことと殻を破ってヒナが誕生することを結びつけ、「卵」がシンボル的な存在となっています。今はチョコレートの卵が全盛ですが、伝統的な家庭では、殻付きのままの卵をそのまま生地に乗せて焼いたビスケットなどを用意するようです。

さてそんなパスクア当日は、というと、行事には欠かせないイタリアの伝統、長~いランチが漏れなくメインイベントとなりますが、この日は、郊外でのピクニックを兼ねたランチが一般的。芽吹き始めた木々や青々とした芝生、咲き乱れる花々。牧歌的な風景の中、延々と続く料理に舌鼓を打ちつつ、春の到来をしみじみと味わうわけです。

パスクアでは、古くから子羊が生贄として神に捧げられていた宗教的な伝統に則って、子羊が必ず食卓にあがります。郊外ランチでは、子羊のバーベキューをメインに、カルチョーフィ(アーティチョーク)や野生のアスパラガスなど旬の素材を使った料理で春を堪能。イタリア人が、季節の移り変わりを敏感に感じ取り、その時期にあった楽しみ方をする様子は、割合、日本人と似ています。郊外のアニェッロバーベキューも、お花見の宴会に近いものがありますから。

ところで、今年のパスクアは、4月8日。「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」となんともややこしい設定のため、毎年日付が変わります。ちなみに昨年は4月16日、来年は3月23日。3月末から4月の間で推移するパスクアは、まるで桜の開花予想のようです。桜の開花が春を告げるように、イタリアでは、パスクアが春の訪れの象徴的な一日となります。ただし、天候ではなく暦により変わるので、より計画は立てやすいですが。

ワンポイントイタリア語講座

意味: 春だね~。

Aria=空気ですが、雰囲気を表現するときにも使います。直訳は「春の空気がある」ですが、春の空気を感じたとき、春の訪れを感じたとき、こんな表現をします。歓喜を込めるとよりネイティブっぽくなります。だって、春の訪れはウレシイものですからね。