イタリア 万歳

イタリアのクリスマスに欠かせないもの、
ツリーとプレセピオとパンドーロ&パネットーネ!
(text & photo by 岩田デノーラ砂和子)

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 クリスマスイルミネーションに彩られ、美しさを増す12月のイタリアの街々。大通りや細い路地まで、趣向を凝らしたイルミネーションが輝き、街行く人の目を楽しませています。12月は、25日までノンストップで営業する店がほとんど。クリスマス・ショッピングで賑わう街は、寒いながらも、ウキウキとしたムードが溢れています。

 華やいだ街の一方、さて、イタリアの家庭では、どんな飾りつけをするものなのでしょう?大きなAlbero di Nataleアルベロ・ディ・ナターレ(クリスマスツリー)は、標準装備として必ずあります。毎年、本物のモミの木を調達する家庭も多いものです。そして、もうひとつ。プレセピオも欠かせません!

 プレセピオ(またはプレセーペ)は、キリストの誕生シーンを模したジオラマ模型のようなもので、登場人物は、福音書の記述をもとに、「マリアとジュゼッペ」「東方の三賢人」「羊飼い」「羊」「馬」…などで構成されています。プレセピオにもサイズは多種あり、大がかりなものになると、「パン屋」「岩の上で驚く人」…などさまざまなキャラクターも登場します。置く場所もきちんと決まっていて、毎年、「この人、どこの位置だっけ?」などと言いながら飾るムードは、どことなくお雛様のそれ、に似ています。

 正式には、クリスマスツリーもプレセピオも、12月8日Immacolata Concezione (聖母無原罪お宿りの日)に家族揃って飾るものですが、主役であるイエス・キリストだけは、12月24日の夜に籠の中にセットします。キリスト生誕を祝う飾りですから、誕生日前に登場するのはおかしい。というわけです。「今、生まれました!」を表現するプレセピオは、なかなかドラマチックなクリスマスの飾りです。

 12月のイタリアの家には、そんなクリスマスの飾りのほか、やはり必ずあるのが、パンドーロとパネットーネ。どちらもクリスマスのお菓子で、12月初旬から売り出されます。

 日本でも売られるようになったので、ご存じの方も多いと思いますが、それぞれのお菓子を簡単に説明すると、パンドーロは、ヴェローナ発祥のお菓子で、「黄金のパン」の意味があります。スポンジケーキのようにシンプルな風貌で、切り口は黄金色。必ず添付の白砂糖をまぶしていただきます。正式な(?)まぶし方は、パンドーロが入った袋に白砂糖を全部入れ、袋の口を持って、バンバンとパンチングボールの要領で上下に動かします。神聖な気分が少々損なわれますが、こうすると上手い具合に全体に白砂糖が行き渡り、美味しくいただけます。

 一方、パネットーネは、ミラノ発祥。発明したアントニオというパン職人のパン「パン・ディ・アントニオ」がなまって「パネットーネ」と呼ばれるようになった…などと言われています。こちらは、ブリオッシュ生地にレーズンやオレンジピールなどのドライフルーツを混ぜて焼き上げたパン菓子。チョコレート入りやピスタチオクリーム入りなど、地方やメーカーによってバリエーションがあります。

 どちらも時間が立つと切り口が乾燥して固くなりますが、そんな場合のコツは、温めること。イタリア人の定番の温め方は、ヒーター!ラジエーター式のヒータ―の上にしばらく置いて温めます!

 12月中は、手土産にしたり、自分でも買ったり、なんだかんだと家の中に増え続けていくパンドーロとパネットーネは、食後のデザートやオヤツにはもちろん、朝食にも登場します。部屋に漂うパンドーロやパネットーネの甘い香りとエスプレッソ。イタリアの12月の朝の香りです。

ワンポイントイタリア語講座

ティ・ピアチェ・ディ・ピュウ・イル・パンドーロ・オ・イル・
パネットーネ?
意味:パンドーロとパネットーネ、どっちが好き?

イタリアでも、パンドーロ派とパネットーネ派に分かれます。パネットーネはそのまま食べることがほとんどですが、パンドーロは、同じ味に飽きたら、砂糖なしのホイップクリームを添えても美味しい。甘いもの好きなら、ジャムやカスタード、チョコレートクリームをプラスしても。バリエーションが楽しいので、私はパンドーロの方が好きですが、皆さんは、どちら派ですか?