イタリア 万歳

桜のようなアーモンドの花やミモザが開花する
イタリアの春は、五感で感じて

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今年は、例年にない程の寒気に見舞われ、大雪の被害が続出したイタリ
アですが、3月の訪れとともに、街はじわじわと春の装いに変わりつつあります。イタリアの春を告げる色は、ピンクと黄色。桜に酷似したアーモンドの花が咲き、次いでミモザが満開になれば、漂う空気も春の香り。芝生が緑色になったら、さっそく枯れ木の下でもピクニックです。

そんな春らしい空気のことを、イタリア人は「春の香り」や「甘い空気」などと詩的な表現を使って表しますが、新しい生命が芽吹き始めるときの香りでしょうか、何とも言えない柔らかくて温かい香りがします。日本でも、田園ではもちろん都会にいても、春先には鼻孔をくすぐる、ほんのり温かくていい香りを感じることってありますよね。(花粉症でさえなければ…)

イタリアには、「年度」といった習慣がなく、3月から4月は通常の月の移り
変わりと何ら変わりなく過ぎて行きます。卒業式や入学式があり、年度末
の慌ただしさや年度初めの緊張感もなく、イベントとしては、3月8日のフェスタ・デッラ・ドンナ(女性の日)やパスクア(復活祭)があるくらいで、
節目感まるでなし。

日本で数十年を暮らしていた私としては、春はやっぱり節目の季節だったりもするので、イタリアに住み始めた当初はしばし戸惑ったものですが、のん気に生命誕生の美しい季節を楽しんでいられる「節目感のない春」も、それはそれで、なかなかオツなものだと最近は思っております。せっかくの春ですしね。

ちなみに、イタリアの始業は9月から。夏休み明けには、日本の年度初めのようなほのかな緊張感が漂います。本当にほのかに…ですけど。

さて、日本では、節目の春として、今年はもうひとつ。昨年の大震災から早1年を迎えますね。イタリアにいても日本のことを思わない日はなく、そしてイタリアの人々にも会う人ごとに「日本は大丈夫?」「その後どうなっているの?」と必ず聞かれます。決して忘れることのできない大きな災害。被害を受けた東北各地、そして日本全体が再び元気になることは、日本のみならず、世界の願いだと感じます。新しい1年、頑張っていきたいですね。

ワンポイントイタリア語講座

意味:春の空気がいい香り!

「Lʼaria primaverile ラリア・プリマヴェリーレ」(春の空気・春の香り)の言いまわしは、窓を開けた際に入りこんでくる柔らかな空気を感じたときなど、春の訪れを表すのによく使われる表現です。こんな香りを感じたら、花が咲く前でもピクニックです。