イタリア 万歳

ほぼ毎日飲むワインだけど
酔っ払うのは厳禁です
(text & photo by 岩田砂和子)

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イタリアで日常的に良く飲まれているお酒は、ワイン。ブドウの育成に適した地中海気候のイタリアでは、全国のいたるところにワイナリーがあります。育つブドウもよく知られているカベルネ種やシャルドネ種などの他に、サンジョベーゼ種やネッビオーロ種など、いわゆる土着の品種も数多く、全国津々浦々で個性あるワインが造られています。どの地方に行っても、その土地のワインがあり、各地で美味に出会えるのはイタリアの楽しみのひとつです。

リストランテで地元の有名なワイナリーのボトルを開けることもあれば、トラットリアで、近郊のワイナリーから樽で届いた蔵出しワインを飲むこともありますが、何しろ「地元のワイン」を飲む割合が断然多いのが、イタリアでのワインセレクト事情。同じ土地で育った食材とブドウを使った料理とワインが合うのは、当たり前でしょうか。人間同士も育つ環境が同じだと、幼馴染のように、自然に合うものですからね。もちろん、あえて遠い土地育ちのワインを合わせてみるのもこともありますが、普段は「そこにあるワイン」を気軽に楽しんでいます。

もちろん家でも、ワインは常に食卓に並びます。食材屋さん、バール、スーパーマーケットなどなど、エノテカ以外でもどこでもワインは見つかり、調達には困ることはありません。我が家の近所では、八百屋さんでも売ってますから!イタリアでは、家に友人を招待してホームパーティ風の夕食会をすることが非常に多く、そんなときも手土産にワインは必須。呼ばれた方が飲み物担当になり、本日のワインを持っていきます。

ランチのときでも軽く1杯、たしなむ程度には飲まれます。よく、仕事で日本から訪れた方たちが、仕事中のランチでもワインを頼むイタリア人スタッフに「さすがラテンの国だねぇ。人生楽しんでるねぇ。」などと大げさに感心することもありますが、ワイン1杯程度は昼間でも普通のことなんですよね。でも、あくまで食事をより美味しく楽しくというのがコンセプト。酔うまで飲むことはありません。それは夜の食事時でも同じです。

だいたい本数にすれば、夕食時に4人で1本から、多くて2本。1人頭1本で計算することが多い日本の飲み方に比べると、ずいぶん少ないように思います。いや、1人1本計算…それも、もしかしたら私の日本の友人たちが特別なのかもしれません…(汗)?まあ、いずれにしても、軽く酔っ払うことはあっても、前後不覚になるほど酔ってしまうことは、決してありません。酔った姿を人に見られるのが恥ずかしいというのが、まずあると思いますが(コントロールできないと思われるから)、危ないからというのが一番の理由である気はします。地下鉄で酔っ払ってぐうぐう寝てたら?身ぐるみはがされて、お財布も携帯も何もかも、盗まれてしまっても文句は言えませんからね。女性なら言わずもがな。女性も気軽に酔っ払える日本は、安全でいい国だなぁと思います。

たしなむ程度のワインでも、十分本音で騒げるイタリア人だからこそ…酔っ払う必要はない。とも言えますが(笑)。何はともあれ食事は、美味しく楽しく。ワインはそんなひとときに欠かせないものです。これからの季節なら、冷やして飲める白やロゼがいいですね!

ワンポイントイタリア語講座

意味: この料理には、どのワインを合わせたらよいですか?

ワインはイタリア語でvinoヴィーノ。料理との相性を聞くときは、「組み合わせる」の意味があるabbinareアッビナーレを使います。料理は piattoピアット。「これらの料理」であれば、questi piattiクエスティ・ピアッティと複数型にします。この部分をチーズformaggio フォルマッジョや前菜antipastoアンティパストなどと入れ替えれば、さまざまなシーンで使えるフレーズです。