イタリア 万歳

初夏のイタリアは一年中で一番美しい!
地中海の太陽がもたらす効用
(text & photo by 岩田砂和子)

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そろそろ桜の季節も終わる頃。日本はすっかり春めいた陽気になっているのではないでしょうか?私のいるローマは、と言えば、すっかり初夏の陽気。確か…つい先ごろまで、「春らしくなってきたね。やっと冬が終わったね」。をしたと思っていたんですが。
やっぱりそれは、さんさんと降り注ぐ地中海の太陽のせい。朝晩の気温は、6度前後と意外とひんやりとしていますし、日中の最高気温も20度前後と、割と今の日本とさほど大差はないはず。だけど、太陽の出ている昼間は、半そでTシャツがちょうどいい位。日向にいたら、数分で日焼けを実感できます。この時期から日焼け止めは欠かせません!

顔も首も手も…出ているところを容赦なく焼いてくれる太陽は、その強烈な光線で、洗濯ものも焼いてしまうことがあります。焼けるといっても燃えるわけではないですが、太陽にさらしておくと色が褪せてしまうのです。使い古しの部屋着かなんかで多少色が落ちたって…というもの以外の色ものは、日陰に干さなければなりません。以前、イタリアの洗濯では、色ものと白いものをきっちりと分けて洗わないと色移りがして大変なことになる。といったお話をしましたが、干すときも注意が要るんですね。太陽が出たら、気持ちよく干したいものですが、太陽の強度によるといったところでしょうか。

ちなみに、太陽の光に当てないと、よく乾かないのでは?なんて心配は御無用。乾燥しているイタリアでは、部屋干ししても臭わないどころか、シーツを4つ折り程度に折ったまま部屋干ししても、乾きますから。

太陽の力が強まるこんな季節は、外での食事が楽しくなる時期でもあります。イタリア人が日焼け好きなのを差し引いても、バールやリストランテの座席は外に並べたテーブル席から埋まっていきます。石畳に直接置かれたテーブルや椅子は、ときにガタガタと座りが悪いこともありますが、そんなことはご愛敬。平らに慣らされたアスファルトの地面よりも味があるってもんです。開放された空間で太陽を浴びていると、気分も陽気になり、細かいことが気にならなくなってきます。

ふと見上げれば青い空。古びた中世時代やバロック時代の荘厳な石造りの建物、大理石の彫刻や噴水が、初夏の眩い太陽に照らしだされ、街のどこもかしこもが輝いているように見えます。年間通してイタリアはいつも美しくはあるのですが、初夏のイタリアはまた格別。少しも湿気を含まない爽やかな風が吹き、オリーブの葉が銀色にきらめく。かつてゲーテやスタンダールが恋い焦がれたのは、季節のイタリアだったんじゃないかしら?

北ヨーロッパに住んでいたイタリア人の友人が、「いつも灰色の雲に覆われていると気持ちが沈んで仕方ない。やっぱり太陽がないとつらい」。と仕事も辞めてイタリアに帰ってきたことがありました。それも驚きですがが、「わかるわかる」と同調する人の多いことにも驚きました。何はなくとも、この青い空と太陽があれば!人生楽しく過ごせそう。ときにシミを作り、洋服の色も抜いてしまうほど強烈なイタリアの太陽ですが、イタリア人と太陽は、切っても切れない仲なのです。

ワンポイントイタリア語講座

Facciamo due passi nella luce del sole!(ファッチアーモ・ドゥエ・パッシ・ネッラ・ルーチェ・デル・ソーレ!)

意味:ほら、太陽浴びたら元気が出るよ!

元気がない人を元気づけるときに使う慣用表現。直訳すれば「太陽の光の下で2歩、歩こう」ですが、太陽を浴びながら2歩も歩けば元気が出るさ。といった意味になります。太陽の下で2歩…そんなことで元気が出るものか!と思われるかもしれませんが、これが結構有効なのです。太陽の力は偉大。落ち込んだり悩んだりしたとき、ぜひお試しください。