イタリア 万歳

数週間単位でバカンスを楽しむイタリア人
別荘があればいいですが、そうでないと結構大変です!
(text & photo by 岩田砂和子)

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只今、イタリアはバカンスシーズンの真っ最中。イタリアでは、6月頃からバカンスシーズンがはじまり、9月中旬まで続きますが、ピークは8月中旬で、 Ferra Agostoフェッラ・アゴーストと呼ばれる15日の祝日を挟んだ前後2週間になります。この2週間は、ローマやミラノの都会は閑散とし、街に残るのは外国人観光客ばかりといった状況に。では、イタリア人たちは、何処へ?それは、もちろん海!都会が閑散としている時期は、海沿いの町に人が溢れます。真夏の民族大移動。イタリアの夏の伝統でもあります。

人気のバカンス先は、国内であれば、南イタリアの海沿いの町々やシチリア島やサルデーニャ島の島々など。しかし、数泊ずつあちらこちらに移動して各地を観光してまわる周遊型の旅行はせず、10日、2週間、もしくは3週間(!)と同じ場所に滞在する滞在型の旅行が基本的なバカンススタイルになります。透き通る青い地中海が広がるビーチ、そこで太陽を思う存分浴びつつ過ごし、ヨットや車で遠出したり、友人を招いてBBQをしたり。都会から田舎の海沿いの町に生活の拠点を移し、ストレスのないのんびりした日々を過ごすのがバカンスの醍醐味。

1泊2日か2泊3日程度に収まらない長期滞在型の旅行なだけに、ホテルを借りるとなったら大変な出費です。では、いったいどこに泊まるの?と思いますよね。よくあるパターンは、数週間単位で貸し出しているキッチン付きのヴィッラやアパルタメントなどを友人同士でシェアして借りたり、もしくは、友達の中にはたいてい海沿いに別荘を持っている人が必ずいるので、その恩恵にあずかる(笑)というのが一般的。

こういった貸しヴィッラは、1ベットルーム+キッチン・バスでハイシーズン前後なら1週間500ユーロ(約8万5千円)程度で見つかりますが、人気エリアで、しかもハイシーズンになると1週間で1000ユーロ(約17万円)は軽く超えてしまいます。私が毎年行くエオリア諸島のフィリクーディ島では、 4ベットルーム+キッチンのヴィッラが8月中1週間でなんと5200ユーロ(約88万4千円)!で出ていました。が、それでも4組で借りれば一組約22万円。一人当たりは約11万円ですので、 6泊7日分と計算すれば「まあ、そんなもんかな?」と思わなくもないですが…。

エオリア諸島は世界遺産にも登録され、ここ数年人気が右上がりの島々ですが、 1970年代80年代の頃は知る人ぞ知る野生の島だったそうで、その時期だとそんな賃貸値段のついたヴィッラでさえ、100万円以下で買えたとのこと。そう考えると「インフレも甚だしい!」と怒るイタリア人の気持ちもわかります(というか、買っとけばよかったという後悔による逆切れ?)。カプリ島やポルトフィーノなど、もともとリッチなリゾート地以外なら、格別のお金持ちでなくとも先見の明さえあれば海沿いに別荘が持てた時代はもう終わってしまったわけです。

先月の新聞によると、インフレの影響から、今年はバカンスのお値段が昨年と比べると1家庭あたり2~300ユーロ(約3万4千円~5万1千円)程アップするそうで、そのため1週間程度に控える人々も増えるだろうとのことでした。 1週間も休めれば御の字ではなかろうか?と思いますが、ロングバケーションが当たり前のイタリアで、これはなかなかつらい事態。古きよき時代に別荘を買い損なった人々は、ハイシーズンを避けたり、自宅から車で行ける日帰りのビーチを楽しんだりしている模様。この先、イタリア伝統バカンス文化も変化していくかもしれません。

※筆者岩田の今年のバカンスの模様をライブでアップしています。コチラもどうぞご覧下さいませ!「ローマの平日versione blog

ワンポイントイタリア語講座

意味:ガソリンスタンド、寄ってく?

ガソリンは「Benzinaべンジーナ」、ガソリンスタンドは「Benzinaioべンジナーイオ」。レジャーに欠かせない車ですが、イタリアではガソリン代は1?あたり1.5ユーロ(約255円)を越えています。バカンスもなかなかどうして、お金のかかる文化なのです。