イタリア 万歳

いつも楽しそうなイタリア人の暮らし。
最近はキャンドルでストレス解消がブームです。
(text & photo by 岩田砂和子)

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イタリアの暮らしやイタリア人を見ると、たいていの人が「ストレスがなさそうでいいね~」と言います。が、イタリアにだってもちろん、ストレスはあります!政治や仕事や人間関係…などなど、現代社会に生きる人々なら、どの国にいても、どんな暮らしをしていても、やっぱりストレスはつきものです。

しかし、イタリア人と接していると、「ストレスの解消の仕方が上手だな」と思わされることがしばしばあります。ストレスはあるけれど、ためなければ、それでおしまい♪ そんなストレス解消の上手さが、「ストレスなさそう」と感じさせるのかもしれません。

まず、解消方法のひとつとして筆頭に挙げられるのは、「思ったことはすぐ口にすること」。道を歩いていても、電車に乗っていても、仕事をしていても、腹の立つことがあればその場で言う。イタリアでは道でも乗り物でも、周囲にいる誰も彼もが口を開いてしゃべっているように見えますが、そのほとんどは文句です(笑)。というのは、ちょっと大げさですが、道を歩きながらケンカしている大人なんていうのは、しょっちゅう見かけます。この「貯める前に吐き出す」のは、イタリア人の特徴とも言えるので、文化の違う日本で真似しようとしても、単なる「変わり者」になってしまうこともあるでしょうから、あまり参考にならないかもしれませんね。

真似できそうなことには、「退社したら仕事の話は一切しない。」とか、「仕事関係以外の友達と楽しむ。」とか、「美味しいものを存分に味わって食べる。」などなど。こういったことは、実践するかしないかが問題。イタリア人はもちろん、徹底的に実践しています。そう、仕事の時間を削ってでも(笑)!

最近、とある雑誌でイタリアの女性たちに「どんなストレスの解消をしていますか?」と言った内容の取材をする機会がありました。そこで多く聞かれたのは、「キャンドルをつけてお風呂に入る」や「キャンドルを一杯つけて好きな音楽を聴く」など、キャンドルがストレス解消に一役買っている話でした。エッセンシャルオイルをたらして、アロマテラピー効果を狙うなど、そんなこだわったものではありませんが、「仕事から疲れて帰ってきて、人工的な灯りの中にいるのは余計疲れるのよ。」だそうで、夜は電気を消してキャンドルの灯りだけにする。といった人がたくさんいました。中には、何十個もつけて本を読んでいたら、具合が悪くなって倒れてしまったという女性も。なんと酸欠だったそう。何事も徹底的なのがイタリアです(笑)。

キャンドルのゆらゆらと不規則に揺れる炎や柔らかな影に包まれていると、いろいろな決まりごとで溢れる日常から、ゆるやかに解き放たれるような安らかさがあります。「夜のうちに嫌なことは全部忘れる努力をするわ。そうしてゆっくり眠れば、翌日はまた新しい一日が始まるから。」と言っていた女性の言葉が印象的でした。嫌なことは、努力をして忘れるべきことなんだなぁとしみじみと思いました。キャンドルの灯りが演出する非日常の雰囲気の中なら、それもうまくできそう。全部はムリでも、減らすことはできそうです。

日本には窓のないバスルームも多いですから、「お風呂でキャンドル」に少々問題があれば、夕食はキャンドルの灯りだけにしてみたり、テレビは消して間接照明とキャンドルでお酒や家族との会話を楽しんだり。自分自身が安らげる空間を演出し、自分のためのひとときを 愉しんで。一日を上手に締めくくれば、翌日を元気に迎えられるはずです。

ワンポイントイタリア語講座

意味: あ~すっごいストレスたまった!

イタリア語でもストレスはstress。形容詞stressata(ストレッサータ)となって、「ストレスがたまった」の意味になります。つまり、イタリアにもストレスはある。ってわけですね。※男性の場合は、stressato(ストレッサート)と語尾が「オ」になります。