イタリア 万歳

異文化発見ワールドのスーパーマーケットは、
新しい観光名所としても人気上昇中?!
(text & photo by 岩田砂和子)

上
下

「海外旅行に行くと、必ず現地のスーパーマーケットに寄る。」という人が増えてきています。私もしかり。それは、旅行の必需品(水やシャンプーなど)を買いに行くためだけではありません。日本でもそうであるように、その国で普段使われているものが並ぶスーパーマーケットは、その国の食文化や生活の様子が垣間見られる異文化体験ワールド。珍しい野菜や見たこともない調味料など、生活レベルでの異文化比較は「へ~。」を連発してしまうこと請け合いで、何百年前に造られた○○や、芸術家のだれそれが残した△△よりも身近に異文化を実感でき、なかなかどうして、面白い観光スポットでもあるわけです。

市場でのお買い物がまだまだ主流のイタリアではありますが、もちろん、街中のあちこちにスーパーマーケットはあり、イタリア人の普段の暮らしを支えています。ただ、日本のようにガラス張りでいかにもスーパーマーケット然とした外観の店舗は、郊外や住宅街のみで、美しい街並みを残す旧市街などでは街の風景に溶け込むように、つまりわかりにくいようにデザインされているため、うっかり見過ごしてしまうことも。しかしよーく見ると、コロッセオやスペイン階段など主要な観光スポットの周囲にもスーパーを見つけることができます。最近は、朝から夜までのノンストップ営業や日曜日も午前中だけはオープンする店がほとんど。商店の長い昼休みが有名なイタリアの暮らしの中で、本当に助かる存在になっています。

入り口にカゴやカートがあり、商品棚が並ぶ様子は日本のそれとまったく同じ。しいて言えば、レジ周りが少々違うかなという位です。レジ前にベルトコンベアーがあって、その上に商品を置くとイスに座ったレジ係の前まで流れて行きます。バーコードを「ピッ」とやって放り出される(この雑な感じはいかにもイタリア)商品をその場でせっせと袋に詰めていきます。

イタリアのスーパーマーケットで「さすが。」と思うところは、やっぱりパスタ売り場。様々なメーカーの様々な形のパスタが棚一面にぎっしりと並んでいる様子は壮観。イタリア料理が好きな人にはたまらない光景でしょう。パスタに並んでソース売り場も充実しています。基本のトマトソースにもいろいろあり、「Passato(パッサート)」と呼ばれる滑らかなジュース状のものや、「Polpa(ポルパ)」という少しトマトの固形の部分を残したもの、缶入り、ビン入りがずらり。茹でたパスタに混ぜるだけの「Arrabbiata(アラビアータ)」や「Siciliana(シチリアーナ)」など出来合いソースも幅を利かせていて、スローフードの国イタリアもじょじょに変わってきている様子がわかります。サラミやチーズ、パンの量り売り場もどんなスーパーにも必ずあり、店員とやりとりしながら買う様子は市場と同じ。イタリアではスーパーでも無言で買い物はできないんですね。

掃除グッズや洗剤が並ぶコーナーやサニタリーも見どころ。豊富に並んだ床用洗剤も「なるほど」といった感じだし、どう考えても大きいヘッドの歯ブラシなんかは笑えます。シャンプーも乾燥対策的なものより、むしろ「Grasso(グラッソ)」と表記された脂対策の方が多いあたりに、体質の違いを実感したり、少々マニアックではありますが、じっくりと眺めると面白いグッズも見つかるスーパー探検は、なかなか楽しいものです。

もし、イタリアのスーパーマーケットに行くことがあったら、オススメのヒットグッズは「Panno Spugna(パンノ・スプーニャ)」。ハンカチ状のスポンジです。台フキンや雑巾替わりに大活躍する便利グッズです。かさばらないし軽いので、お土産としても最適。私は日本に帰るたびにお持ち帰りしています。それと荷物に余裕があれば、食器用洗剤も試す価値大。オリーブオイル尽くしのイタリアの食卓に対応するだけに、油汚れを落とすパワーは仰天ものです。ついでに手の脂も存分にとれてしまうからゴム手袋は必須ですけどね。

ワンポイントイタリア語講座

意味: 袋下さいな。

スーパーの袋は、イタリアでも自己申告制で1チェンテージミ(約1.6円)です。ちなみに5チェンテージミ以下は、スーパーのレジでもあまり取りざたされず、例えば2チェンテージミ足りなくても「いいよいいよ。」とおまけにしてくれたり、逆にレジに1チェンテージミコインが足りないときは、キャンディーを 1個くれたりします。大らかでいい国です。